nascom2007-07-13


バグダードバーニング by リバーベンド

バグダッド在住のイラク人女性として、2003年8月から、米軍占領下にあるイラクの現状をインターネット上で書き綴っている。リバーベンドという名前はネット上の名前。占領下という特殊な事情から、その素性はいっさいあきらかにされていない。

『Baghdad Burning』
http://www.geocities.jp/riverbendblog/

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・2003年8月17日(日)
 『始まり』

これが私にとっての始まりになるようだ。自分のブログを始めるなんて全く考えていなかったけれど……。
以前は、ブログを書こうかと思うたび「でも一体誰が読んでくれるの?」という疑問しか思い浮かばなかった。今は、やってみるしかないと思う。…… でも、警告しておこう。不平と暴言をたっぷり覚悟してほしいと。何しろGoogleでrantlog(訳注:怒りのブログ)を検索してみたけれど、その結果一番すごいのはこのブログなのだから。 

少し自己紹介しよう。私は女性で、イラク人、24歳。戦争を生き延びた。
あなたが知らなければならないのはこれで全部。いずれにせよ、近頃大切なのはこれだけしかない。

リバーベンド

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・2003年8月19日(火)
 『疲れ』

疲れたまま目覚めるなんてどうしてありえるのだろう? 眠りながら格闘していたような気がする。悪夢の数々と格闘し、おそれと格闘し……銃声や戦車の音に聞き耳を立てることと格闘していたような……。今日はとにかく疲れた。これは眠りたいような「疲れ」の質とは違う。ただひたすら活動を停止したい……最近は誰でもこんな風に感じていると思う。

今日、バグダッド北西部の行政区域、アンバールで子どもが殺された。名前はオマル・ジャシム。わずか10歳か11歳の男の子だ。誰かこの出来事について耳にしただろうか? 今でも問題になっているのか? フォックスニュースやCNNが報道したのか? この男の子は米軍の家宅捜査のとき殺された。その理由は誰も知らない。家族は打ちひしがれている。家には何もなかったので、何も取られなかった。いつもの家宅捜査の一つに過ぎなかった。人はみな家宅捜査をおそれている。何が起きるか決して予測できないからだ。対応を誤れば撃たれるかもしれないし、対応を誤るというのも本当のところ何なのか。物も盗まれてしまう……金、時計、お金(ドル)……。兵士たちが「すべて」盗みを働くと言っているのではない。それでは公平を欠く。まるでイラク全土が略奪に遭っていると言うようなものだから。

だが、略奪者や殺人者、ギャング、民兵の心配をしなければならないのは本当に厄介だ。誰かがこう言うのを知っている。「恩知らずのイラク人め!あの人たちは『おまえたち』のために仕事をしている……家宅捜査は『おまえたち』のためにしているんだ」。しかし本当は、度重なる家宅捜査の遂行目的はただ一つ。私たちが占領下にあること、独立国ではないこと、自由がないこと、解放されていないことを絶えず思い知らせることにある。私たちはもはや自分の家にいても安全ではない。あらゆるものが他の誰かのものになってしまった。

 




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