nascom2007-07-16


・2007年2月20日火曜日

『サーブリーンのレイプ・・』

最近、ブログするエネルギーと決意がなかなかわいてこない。イラクの状況を考えるだけで消耗し落ち込むからだろうと思う。でも、今夜は書かなくてはならない。

これを書いている今、チャンネル4(ナイル衛星放送で見られるMBCのチャンネル)では、借金から抜け出す方法をオプラ[トークショーの司会者]がアメリカ人に教えている。スタジオを埋める、見るからに買い物しすぎてるアメリカ女性たちに対して、ブランド品をもっと減らしてもやっていけるとゲストが話している。収入と財産をいかに増やすか。

彼らがしゃべっている時、アル=ジャジーラでは若いイラク女性のサーブリーン・アル=ジャナービーが、イラク治安部隊に家から拉致され、レイプされたと語っているのだ。視聴者には彼女の目しか見えない。彼女の声はかすれ、上ずったり詰まったりする。ついに彼女はもうこれ以上話せないとレポーターに告げ、恥ずかしさのあまり目を覆ってしまった。 

彼女は誰よりも勇気あるイラク女性かもしれない。アメリカ軍とイラク治安部隊が女性たち(男性たちも)をレイプしていることはみんな知っている。でも実名でこのことを世間に明らかにしたのは、彼女が最初ではないだろうか。彼女が自分の身に起こったことを語るのを聞くと、私の心は痛む。彼女をうそつきという人もいるだろう。他の人たち(戦争を支持するイラク人も含む)は彼女を売春婦と呼ぶだろう―あらかじめ言っておく。恥を知れ。

サーブリーンを誘拐するとき、どんな口実を使ったのだろうか。たぶん彼女は「テロリスト容疑者」といういつもの見出しでやつらが拘束する何千人もの人々の一人なのだろう。CNNやBBCやアラビーヤの字幕で「イラク治安部隊が暴徒を13人拘束した」と出たうちの一人だったかもしれない。彼女をレイプした男たちは、ブッシュとコンディがあんなに自慢しているあの治安部隊、つまり、アメリカ人に訓練された人々なのだ。これはアメリカのイラク占領ドキュメンタリーをひもとけばすぐに見つかる章。レイプされ、殺され、両親と妹たちとともに焼かれた14歳のアベールのことを語る章だ。

やつらは、バグダード南部のハイ・アル=アミルという地域にある家から彼女を誘拐した。ギャングなんかじゃない。イラク平和維持隊か治安部隊。アメリカによって訓練されたやつらじゃないの?どういうやつらか知ってるでしょ。彼女は残酷に集団レイプされ、今そのことを語っている。彼女は、安全のためかプライバシー保護のため、顔を半分隠している。彼女が語ったことをここに翻訳してみる。

「私は『私は何も持ってない(私は何もしてない)』とその人に言いました。彼は『何も持ってないって?』と言いました。ひとりの男が私を地面に投げつけ、私はタイルで頭を打ちました。彼はそのことをやりました―つまり、私をレイプしました。次の男が来て、私をレイプしました。3人目もまた私をレイプしました。(間―すすり泣く)私は彼らに頼み、叫びました。すると、一人の男が私の口を覆いました。(不明瞭、泣く)別の男が来て言いました。『終わったか?おれたちも番を待ってるんだ』すると彼らが言いました。『だめだ、アメリカ人の委員が来た』。彼らは私を裁判官のもとに連れて行きました。

キャスター:サーブリーン・アル=ジャーナビーは、治安部隊のひとりが彼女のビデオ/写真を撮り、レイプのことを人に話したら殺すと脅したと語っています。彼女が調査官に会ったあとで、また別の将官が彼女をレイプしました。

サーブリーンは続ける。

「男たちの一人が言いました…私は彼にこう言ったのです。『どうか―あなたのお父様とお母様にかけて―私を放してください』彼は『いや、いや。母親の魂にかけて、おまえを放してやるさ。ただし条件がある。お前がたった一つこっちにくれさえすればね』と言いました。私は『何を?』と尋ねました。彼は『レイプしたいのさ』と答えました。私は『だめ―できません』と言いました。すると、彼は私を武器のある部屋に連れて行きました・・・そこには武器、カラシニコフがあり、小さなベッドが、、、彼は私をそこに座らせました。それから(将官が来て)彼に言いました。『この女を置いていけ』。私はクルアーンにかけて誓い、言いました。『預言者の光にかけて、私はそのようなことをしません・・・』。彼は言いました『そのようなことをしないって?』私は答えました。『はい』。

(泣く)彼は黒いホースを持ち上げました。管のようでした。それで腿をぶたれました。(泣く)私は言いました『私になにをしてほしいというの?レイプしてと言えというの?私にはできないわ・・・私は***(売春婦)じゃないもの。そういうことはできないわ』。すると彼は『俺たちは欲しいものを取る。欲しいものでなければ殺す。それだけだ』と言いました。(すすり泣く)もうこれ以上話せない・・・ごめんなさい。最後まで話せません」

この女性を見て、激しい怒りのほか何も感じることができない。私たちはいったいなにを得たのだろう。私は知っている。外国人が彼女を見ても、決してわが身に引き寄せて感じることはできないだろう、ということを。彼らは気の毒だと思うだろうし、少し怒りを感じるかもしれない。でも、彼女は私たちの仲間で、彼らの仲間じゃない。
彼女はTシャツとジーンズに身を包んだ少女ではないから、彼らはせいぜいぼんやりとした同情を感じるだけだろう。かわいそうな第三世界の国々―女性たちはこんなことに耐えている、と。以前は決してこんなことに耐える必要がなかったことを知ってほしい。イラク人が路上でも安全でいられたときがあったのだ。もうずっと前のことになってしまったけれど。戦争の後、私たちは、少なくとも家にいればしばしの間安全だと慰めあった。家庭は聖域、じゃなかった?もうそんなこともなくなってしまった。

彼女は、自分自身の家やイラクの刑務所で暴行された数十人、あるいは数百人のイラク女性の一人にすぎない。彼女は私のいとこに似ている。友達に似ている。たまに道で会うと立ち止まって噂話をした隣人に似ている。彼女を見るイラク人はみんな、彼女のうちに、いとこを、友達を、姉妹を、母を、おばを、見るだろう・・・。

ぐずぐずと問い続けているあらゆる馬鹿者たちのためにはっきりと言おう:状況は悪くなった。もうおしまい。あなたの負け。あなたが持ち込んだ、アメリカじこみの猿どもの歓呼を受けて、戦車でバグダードに乗り込んだ日に、あなたは負けた。兵士が陵辱したすべての家族を、あなたは失った。
アブ・グレイブでの写真が公表され、私たちが目の当たりにしている、この路上で繰り広げられた残虐行為が、収容所の壁の向こうと同じだと実証されたとき、勇ましく、まっとうなイラク人をあなたは失った。殺人者を、略奪者を、無法者を、そして暴力団の親分たちを権力の座につけ、イラクの最初の民主政府として彼らを迎えたとき、あなたは負けた。身の毛のよだつ処刑を最も偉大な達成と称したとき、あなたは負けた。かつては持っていた敬意と評判を失った。3000以上の兵士を失った。それがアメリカが失ったもの。せめて石油がそれだけの価値あるものであったと願いたいものだ。


『Baghdad Burning』
http://www.geocities.jp/riverbendblog/



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